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手袋と手の温もりと2つのモード〜喫茶猫屋堂整体〜CS60LOHAS北九州緩み

寒い朝が続いている。

目が覚めて、窓の外を見ると、うっすらと白い息が漂っていた。あれほど汗をぬぐいながら過ごした夏の日々が、今では遠い夢のようだ。あの頃は、「この暑さの中に冬なんて本当に来るのだろうか」と思っていたが、やはり季節は巡る。

ただ、ここ数十年は感じる。——同じ季節は二度と来ないのだと。


秋はまるで駆け抜ける旅人のように、ひと息で過ぎ去っていった。

気づけば、風はすでに冬の匂いを運んでいる。乾いた空氣に混じって、どこか懐かしい匂いがする。


今朝、引き出しの奥から手袋を取り出した。

昨年、いくつか試してみたが、やはり行きつくのは防水のものだ。道中で冷えた手を守るには、しなやかで丈夫な素材がよい。ダウン入りの手袋も悪くはないが、厚みのせいで指先の感覚が鈍る。脱ぎ着の度に小さなストレスが生まれ、結局、使わなくなってしまった。


手を温めるというのは、単なる防寒ではない。

私にとって手は、仕事の道具であり、感覚のアンテナであり、そして人を癒すための最も大切な「心の延長」でもある。


手には二つのモードがある。

ひとつは「作業モード」。これは、ものを持ち、動かし、磨き、押し、支えるときの手。もうひとつは「センサーモード」。

この手は、温度を感じ、質感を確かめ、微かな変化を拾い上げる。

たとえば、施術の際に肌の上をなぞると、冷たい部分、硬い部分、呼吸に合わせてわずかに動く筋の流れまで伝わってくる。


その瞬間、手はただの「道具」ではなくなる。

そこに流れる“何か”を受け取り、感じ取り、整えていく。

研ぎ澄まされた職人の感性や、長年の経験を持つ人の指先には、数値では測れない精度が宿る。

手とは、心と世界をつなぐ最初の橋なのだ。


だからこそ、手を労わることが大切だと思う。

手を温め、乾燥から守り、丁寧に使う。

それは単なるケアではなく、「今日もあなたを信じて働く」という小さな誓いのようなもの。


人の身体に触れる仕事をしていると、ふと感じることがある。

「癒し」は、技術や理論の前に、“温度”なのだと。

温かい手で触れられたとき、人は少し安心し、呼吸がゆるむ。

その瞬間、身体の内側に春のような風が通り抜ける。


——寒い冬の朝、

私は手袋をはめながら、そんなことを思い出していた。

手を温めることは、自分の心を温めること。

そして、そのぬくもりは、きっと誰かの心にも届いていくのだろう。


今日も、手のぬくもりとともに。


喫茶猫屋堂整体

手

 
 
 

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