冬の風に揺れる山茶花と、海の香りを閉じ込めた骨せんべいの物語 — 新宮町の静かな朝と、心がふっとゆるむひととき 。喫茶猫屋堂整体〜CS60LOHAS北九州緩み
- 管理者

- 12月6日
- 読了時間: 3分
まだまだ寒い日が続いていた。
新宮町の風は、頬を赤く染め、耳の先をきゅっと締めつける。
それでも、喫茶猫屋堂の近くの公園を歩くと、山茶花の蕾がほころび始めていて、冬の空氣の中にほんのり春の香りが混じり始めたようだった。
濃い緑の葉の間で、薄いピンクの花びらが静かに光を受けている。
凍える空氣の中で、花は震えることもなく、ただ凛としてそこにいた。
人は寒さに肩をすくめるのに、花は風の中で堂々と咲いている。
その姿を見ると、なぜだか胸の奥がすっと伸びる氣がする。
近くの直売所を覗くと、氷の上に並ぶ鰯が銀色に輝いていた。
今は鰯の季節らしく、山のように積まれていて、値段も手頃だ。
冬の魚は、体に染み込むような味がする。
まるで、冷たい季節の中でじっと蓄えてきた力を一口ごとに少しずつ分けてもらうようだ。
家に帰ると、鰯の下処理が始まる。
「みんな、唐揚げにするとき、骨はどうしているのだろう」
そんなことを思いながら、包丁を入れると、銀色の皮がほろりと開いた。
骨を一本ずつ丁寧に取り除き、バットに並べる。
その骨を揚げ、パリッと仕上げると、香りが一気に立ち上る。
初めて食べたとき、思わず声が漏れた。
「うまい……」
鯵の骨せんべいも好きだが、鰯の骨せんべいにはまた違う良さがある。
薄くて軽いのに、噛むと香ばしく、口の中に海の匂いがふわりと広がる。
気がつけば、手が勝手に次の一枚をつまんでいる。
やめどきが分からなくなる、あの感じ。
私はなぜ、こんなにも魚の骨せんべいが好きなのだろうか。
考えてみると、それは単に味だけではないように思えた。
骨を取っているときの静けさ。
揚げ油に骨を入れた瞬間の、パチパチとした音。
からりと揚がって皿に並んだときの、黄金色の輝き。
そして、一枚食べたときの「かりっ」という軽い音。
それらが、小さな達成感となって心を満たしていく。
忙しい日々の中で、ほんの数分だけ世界が静かになる時間――
それを私は、きっと求めていたのだ。
CS60の施術の時間も、どこか似たところがある。
来られる方それぞれの身体のリズムと向き合い、
張りつめていた何かがふっとゆるんでいく瞬間がある。
「骨せんべいの音みたいだな」と、ふと思った。
パリッと音がした瞬間、身体のなかの何かも軽くなる。
静けさの中で、自分と向き合うひととき。
その小さな時間が、人を優しく包み込むのかもしれない。
窓の外を見ると、風に揺れる山茶花の花びらがひらりと落ちた。
白い地面に落ちたピンクは、まるで春のしるしのように見えた。
今日も誰かに、あの静かな時間を届けられますように。
そしてまた、骨せんべいを揚げよう。
かりっ、と音がしたら、それはきっと幸せの合図。
喫茶猫屋堂整体
CS60LOHAS北九州緩み





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