タレと塩胡椒の香り、冬の台所 ― 焼き鳥の夜。喫茶猫屋堂整体〜CS60LOHAS北九州緩み
- 管理者

- 12月9日
- 読了時間: 2分
冬の夜は、台所の灯りだけが小さく温かく光っている。
外の空氣は冷たく澄んでいるのに、
ここだけは別の国のように、ふわりと柔らかな熱が漂っていた。
今夜は、ゆっくり 焼き鳥 を作ることにした。
ひと手間かけた料理は、心の中の時間をゆっくりと広げてくれる。
まずはタレ作りから始まる。
鍋に昆布だしを入れ、
すき焼きの割下を思わせる甘い香りの醤油、砂糖、酒、みりん。
弱火で静かに煮つめると、
冬の窓に映る灯りのように、とろりと深い色へと変わっていく。
この瞬間、台所には
「今日は特別な夜だ」 という空氣が満ち始める。
鶏肉を丁寧に切り、
串に刺していく作業は、黙々と心を整える時間だ。
手のひらから、料理には静かなリズムが宿る。
ガスコンロの魚焼きグリルに火を入れると、
小さな炎が金網を赤く染めた。
タレをまとった鶏肉を並べ、ゆっくりと焼き始める。
じゅう、と音が走り、
甘い香りが立ちのぼる。
タレをつけて焼き、
またタレをつけて焼き、
さらにもう一度タレをつけて焼く。
三度重ねた時間は、味にそのまま深さを残す。
照りが出て、光が肉の表面に宿る。
まるで冬の夜空の星のように美しい。
焼けたそばから、
ひとつ、口に運ぶ。
——熱い。
——そしてうまい。
焼きたてが持つ静かな力は、
言葉よりも早く心に届く。
続いて、豚バラは塩胡椒。
脂が火を受けて、弾けるように香り立つ。
塩を振るその時間は、雪の粒が落ちるように静かで美しい。
鶏皮は、タレと塩胡椒の両方。
ぱりりとした食感に、香りが重なる。
やげん軟骨は塩胡椒。
噛むたびにリズムが生まれて、
その音が小さな祝祭のようだ。
えのきのベーコン巻きには、
大葉を一緒に巻くのがポイント。
火が通ると、大葉の香りがふわりと花開き、
ベーコンの香りと混ざり合って、
冬の夜に小さな風が吹き抜ける。
豚レバーと鳥肝はタレ。
濃い味わいの奥に、じんわりとした余韻が残る。
食べながら焼く。
焼きながら食べる。
そのリズムは、まるで小さな旅のよう。
皿の上で煙がゆらぎ、
湯氣がやわらかく手元を包む。
台所の中で、
静かな喜びがひとつ、またひとつ増えていく。
「焼きたてがいちばんうまい。」
その言葉に、誰もが静かにうなずいた。
大げさなごちそうではない。
けれど、この時間は確かに豊かな食卓だった。
心とからだにそっと灯りをともす、
冬の焼き鳥の夜。
今日もまた、
小さな幸せがひとつ、生まれていく。
喫茶猫屋堂整体
CS60LOHAS北九州緩み





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