冬の豊かさをまとった新酒と、静かにととのう時間の物語。喫茶猫屋堂整体。CS60LOHAS北九州緩み

冬は新酒の季節だ。

冷たい空氣が深まるたびに、どこか街全体が澄んでいくようで、その透明さに誘われるように、私は酒屋の暖簾をそっと押し上げた。

お世話になったあの人へ、今年も特別な一本を贈りたい。氣取らないけれど、まっすぐ喜んでもらえるもの。そういうお酒を探していた。

棚にはいくつか候補が並んでいた。ラベルだけでは選びきれず、私は店主に声をかけた。

「この時期、何か“おすすめの”一本はありますか？」

店主は、ふふ、と少し誇らしげに笑って、「ちょうど今朝、入荷したばかりのがあるんですよ」と、奥の倉庫へ消えていった。

しばらくして戻ってきたその手には、雪を連想させるような白い和紙のラベルに青色の瓶。触れた瞬間、ひんやりとしたガラス越しに、搾りたての息遣いが伝わってくるようだった。

「これは……特別ですね」私がそうつぶやくと、店主が頷いた。

「ええ。他にもおすすめはありますが……まずは、これを。」

棚の奥には、辛口、淡麗、香り系……タイプの違う一本一本が、まるで物語の登場人物のように並んでいる。けれど今日は、この「倉庫から連れてこられた一本」の存在に吸い寄せられた。

大切に箱へおさめ、外に出る。冬の日差しは弱いけれど、胸のあたりだけはぽっと灯りがともる。

――家に戻る途中、ふと足が止まった。「そういえば、身体のめぐりが少し固まってる氣がするな」と思ったのだ。贈り物を選ぶときって、氣持ちが集中しすぎて、自分のリズムを忘れがちになる。

そんな時、ふと頭に浮かぶのは、喫茶猫屋堂で過ごす、あの静かな時間。

CS60の心地よさに身をゆだねると、ふわっと身体がほどけていくような感覚が生まれて、呼吸が深くなり、内側のめぐりが落ち着いていく。

その瞬間、「そうだ。贈り物を選んだ自分にも、少しごほうびをあげてもいいかもしれない」と、控えめな小さな決意が生まれる。

冬はどうしても身体がきゅっと縮まりやすい。だからこそ、ほどける時間をつくると、日常の景色まで少し変わって見える。

新酒を抱えて帰る途中の私は、なんだかひとつの物語の幕間にいるようで、歩くたびに落ち着いたリズムが整っていく氣がした。

贈る一本。そして、自分を緩めるひととき。

冬は、そんな「優しさの循環」を思い出させてくれる季節だ。

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