「夏の縁側、ミカン色の余韻」──遠賀郡水巻町にてCS60LOHAS北九州緩み
- 管理者
- 7月15日
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遠賀郡水巻町の午後。この日は曇空で湿り氣がある。だが、風もあり、決して不快なものではなく、むしろ人の暮らしをやわらかく包み込むような、しっとりとした空氣だ。
その日私は、交通量の多い国道をひとつ折れた先の静かな住宅地に向かった。ナビを頼りに着いたその家には、きちんと掃き清められた玄関先と、手作りの花壇が出迎えてくれた。
建設関係のお仕事をされているというご主人は、寡黙で飾らない方だったが、庭の話を始めると少し表情が緩んだ。
ホームセンターで買ってきたというレンガで作った花壇には、濃い緑の葉のあいだから、ちょうど紫の茄子の実が顔をのぞかせていた。その横には、初夏の陽をたっぷり浴びたイチゴと、ブルーベリーの苗木が揺れている。まだ若い果実たちは、ご主人の世話を受けながら、ゆっくりと時間をかけて甘くなっていくのだろう。
和室にご案内いただき、CS60の施術を始める。
肩まわりに長年の疲れがたまっているとのことで、呼吸のリズムを大切にしながらゆっくりと整えていく。静かな部屋には時おり、風鈴の音と陽氣な小鳥のさえずりが混ざる。まるで、身体の奥に閉じ込められていた硬さが、少しずつ空へと昇っていくような、そんな穏やかな時間だった。
施術が終わると、ご主人が「冷たいもんでも」と言って、冷蔵庫から小さなお皿を持ってきてくれた。
手作りのアイスキャンディーだった。みかんの缶詰とオレンジジュースで作ったというその一本は、どこか懐かしい味がした。最初は娘さんが作り始めたのがきっかけらしい。
「娘はいま、クッキー作りに夢中でね。アイスは、自分の担当になった」
と、照れくさそうに笑った。
そしてもう一本、ご主人の“自信作”だという特別なアイスもいただいた。紅色がかったそのアイスは、ひとくち口にした瞬間、ただのみかんではないことが分かる。
薬草のようなほろ苦い、けれども後味に仄かな甘みが残る――。その秘密は、カンパリだという。
「これがね、娘には不評で。けど、うちの奥さんは意外と好きでね」
と嬉しそうに話す。海外製のオレンジジュースを使っていることもあり、柑橘の風味が複雑に絡み合い、大人の夏を感じさせる一品だった。
「回転寿司ではね、柚子シャーベットを2個食べるんよ」と笑うその表情に、少年のような無邪氣さが浮かぶ。
CS60の施術というと、身体を整える行為のようでいて、実はこうして人の暮らしに触れ、人柄に触れ、家族の物語の一端に触れさせてもらう時間なのだと、あらためて思う。
夏の午後。
静かな町の一角で出会った、みかん色のアイスキャンディーの味。
それはどこか、人生の甘さと苦さが、ちょうどいい具合に溶けあっているような、大人の午後の、優しい余韻だった。
CS60LOHAS北九州緩み

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