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【思いがけない贈り物】庭のフキと鞍馬寺の記憶

皆さんこんにちは。

北九州市近郊でCS60の出張整体を行なっておりますCS60LOHAS北九州緩みです。

ある春の日のこと。八幡西区での出張施術を終えた帰り際、ご主人がふいに「よかったらこれ、どうぞ」と、手渡してくださったのは庭でとれたフキの煮物でした。


透明感のある、みずみずしい色合い。

醤油と出汁のやさしい香りがふわりと立ちのぼる、春のごちそう。


思わず「わぁ、手づくりですか?」と声をあげると、ご主人は少し照れたように笑いながら、ぽつぽつとお話をしてくれました。


「最近、ちょっと不思議な夢を見てね……。それで、鞍馬寺に行ってきたんですよ。」


鞍馬寺。


京都の山あいにひっそりとたたずむ、あの神秘的なお寺です。

ご主人は夢の中で誰かに呼ばれるようにして目を覚まし、その日の朝、小倉駅から新幹線に乗り、本当に鞍馬寺まで足を運んだのだそうです。


ケーブルカーを使わずに、山道をひとりで登ったと聞いて、私は思わず目を丸くしました。


「木の根がごつごつと張り出していてね。それを踏みしめながら、何ヶ所かで手を合わせながら登ったんです。時間はかかったけど、不思議な時間でした。」


山頂に着いたときには、山の静けさと空の広さに、胸がいっぱいになったといいます。


「なんというか…聖地っていうか、故郷っていう感じがしたんですよね。」


そう話すご主人の声は、静かだけれど、どこか晴れやかでした。


「帰ってきてね、ふと思い出したんですよ。昔、母が春になるとよくフキを炊いてくれてたことを。」


庭に芽吹いていたフキを摘んで、ゆっくり丁寧に下ごしらえし、薄味でふっくらと炊き上げたそうです。


「鞍馬寺で過ごしたあの時間と、母の煮物の記憶が、なんだか不思議と重なってね。旅の思い出の味っていうのかな。」


そんなふうに語るご主人の横顔を見ながら、私はその煮物の入ったジップロックを大切に持ち帰りました。


帰宅して、温かいごはんと一緒に、そっとひと口。


しっとりと、でもしゃきっとした歯ごたえ。

口いっぱいにひろがる出汁の香りと、ほんのり苦み。

どこか懐かしいのに、初めて出会うような、そんな味でした。


不思議な夢に導かれて訪れた山、踏みしめた土の感触、静かな祈りの時間。

そして、帰ってきてから炊いたフキの煮物。


旅は、時として、記憶と今とをつなぐ「鍵」のようなものを私たちにそっと渡してくれるのかもしれません。


思いがけない贈り物と、胸に残るお話に、心がふわりとほどけた一日でした。

丸窓

 
 
 

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