海外出張が多いビジネスマンの背中を緩めるー小倉北区CS60出張施術記ーCS60LOHAS北九州緩み
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北九州市小倉北区。
細い路地に面した静かな集合住宅の一室に、私は本日もCS60を手に訪れた。
鮮やかな紺色の玄関のドアを開けた男性は、長く旅をしてきた人特有の、研ぎ澄まされた氣配をまとっていた。
出張が多いという。しかも、国内ではない。海外、それもアジア、中東、欧州と、季節も風土も文化も異なる土地を転々とするのだという。私はその話を聞いたとき、「旅慣れている」といった軽い言葉では括れない、ある種の重みをその背中に感じた。
「特に、背中が疲れているんです」
リビングの一角、日がよく差し込む窓際に布団を敷き、彼は静かに横になった。その瞬間、私は旅の記憶がこの背中に層のように積み重なっているのを感じ取った。国を越え、時間を越えて移動し続ける身体。それはまるで、世界を背負って歩いているかのようでもある。
確かに、海外の移動は想像以上に神経をすり減らす。言葉、気候、食事、作法、文化の違い。空港での長い待ち時間に始まり、スーツケースの取っ手が手のひらに残す違和感。見知らぬ土地での食事に緊張し、現地のお手洗いに戸惑い、眠るはずのベッドで逆に目を冴えさせる。
「きれいに見えるホテルでも、なんとなく落ち着かないんですよね」
彼はそう言って、笑った。妙に分かる氣がした。見えない「氣」のようなものが、空間には確かに存在する。そんな夜は、ひとり明かりをつけて、少し多めに酒を飲み、買ってきたおつまみで小さな宴を開くのだという。誰にも邪魔されず、誰にも気を遣わず、ただひとり、異国で「自分の時間」を取り戻す。
背中にCS60をあてながら、私は「旅」というものが、身体の奥深くにまで沁み込む体験だということを思い出していた。
施術が終わったあと、私たちは自然に健康と電磁波の話に移った。彼は鋭い感覚を持ちつつ、理詰めでそれを語るタイプの人だった。話は次第に、旅先で撮った写真へと広がった。
「これは香港。トランスフォーマーのロケ地だったんですよ」
見せてもらったのは、あの有名な“モンスターマンション”。膨大な数の部屋、幾何学のように入り組んだ窓、光と影が迷路のように交差する高層建築。まるで現実の皮をかぶった異世界だった。人間が人間のために造った空間なのに、どこか人間離れしている。そんな不思議な風景に、日本人観光客が群れていたという。
「でもね、やっぱり日本の飯が一番うまい」
彼はそう言って、どこか安心したように頷いた。
「特に、自然栽培の野菜と米。あれは、世界でもなかなか食べられない」
それは単なる味覚の話ではなかった。日本の土、水、光、風。それらが重なって育つ「いのちの恵み」を、彼は旅を通して見つめ直したのだろう。旅は時に、遠くへ行くことで自分の根を知る行為でもある。たしかに、私たちが何気なく食べている米や大根やにんじんは、この国の見えない豊かさ、土と水の恵みの結晶なのだ。
施術を終えた背中は、ゆるやかに呼吸をしていた。背負ってきた異国の風景と記憶が、そっと解けていく。彼の旅はまだ続くだろう。けれど、こうして「今ここ」に立ち止まることで、人はまた歩き出せるのかもしれない。
私はCS60を片付けながら、心の中で静かに思った。
この仕事は、旅人の背中を整えることかもしれない。
見えない荷物を、そっとおろしてもらうために。

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