画面を見ずに指先だけを信じる朝――ブラインドフリックという小さな挑戦が、静かな集中と心の整いをもたらしてくれる時間。喫茶猫屋堂整体。CS60LOHAS北九州緩み
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- 12月1日
- 読了時間: 2分
片手でスマホのキーボードを見ずに文字を入力する――
それをブラインドフリックと呼ぶらしい。
朝の静かな時間帯、猫屋堂のテーブル席に腰を下ろしながら、私はそっと指を動かした。
珈琲の湯氣がカップから立ち上り、窓の外では淡い光が曇り空を照らしている。
いつものルーティーン。
少し肌寒い季節。
この空氣の中で、私は今日も指先の訓練を始める。
スマホの画面は見ない。
指先だけを信じる。
トン、トン、スッ、スッ。
音にならない音が、ゆっくりと空氣を揺らす。
画面を見ずに文字を打つという行為は、まるで目隠しをして歩くような感覚だ。
ふわりと宙に浮くような頼りなさと、少しのスリル。
しかし、正しく文字が連なったとき、胸の奥から小さな喜びが湧き上がる。
――「誰に習うわけでもなく、生まれた頃からスマホを使い続けていれば自然とできる様になりました」
先日、そんな言葉を耳にした。
まるで新しい種族の能力のようだ。
スマホ世代が持つ、進化の証かもしれない。
私は思った。
これは、ひとつの新しい感覚の訓練だと。
ブラインドフリックができる人たちが軽やかに指を走らせる姿は、ピアニストが鍵盤を滑るようで惚れ惚れするほど美しい。
それに比べれば、私はまだまだだ。
つい、
連打してしまう。
意味不明の文字列が画面に並び、思わず笑ってしまう。
――だが、それでいいのだ。
人にはそれぞれ、自分のペースがある。
ゆっくりでも、静かでも、確かに積み重なっていくものがある。
指先を意識して動かしていると、
不思議なことに、身体の流れが整っていく感覚がある。
余計な力みがほどけ、呼吸が深くなる。
氣が静かに巡るような、あの感じ。
ブラインドフリックは、文字入力のためだけの技術ではなく、
集中し、整えていく小さな瞑想のようなものなのかもしれない。
今日もまた、私は画面を見ないで指を動かす。
スッ、トン、スッ、トン。
いつか、軽やかに文字が流れるように。
いつか、指先の音が音楽のように響くように。
そしてその時、私はそっと微笑むのだろう。
「できた」と。
小さな挑戦は、今日も静かに続いていく。
猫屋堂の湯氣の向こうで、新しい朝がひらいていく。
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