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茶碗にまつわるとても不思議な話〜CS60LOHAS北九州緩み〜

更新日:8月11日

福岡県の山あいの町で、ひとり静かに暮らす女性がいる。

彼女は40代を過ぎてから茶道を習い始め、心を込めて一碗を点てることを日課にしていました。


都会での激務に疲れ、すべてを手放して山に越してきて5年。

小さな古民家に住み、庭に咲く山野草を愛で、朝は炭をおこし、湯を沸かし、点前を練習する。

「心が整うとは、こういうことかもしれない」――そんな穏やかな日々。


ある春の日、町で催された古道具市で、彼女の目に留まったのは、一つの茶碗でした。


華やかでとても力強く美しい釉薬。高台の形がしっかりとしており、丸く囲むように削られた跡があるが、素人には価値があるのかどうかすらわからないような、手作り感いっぱいな碗。表面には小さな穴が無数に開いており、不思議な感じ。でも、彼女はその茶碗に惹かれました。

「触れたとき、なんだかほっとしたんです」


わずか3,000円でその茶碗を買い、毎朝の稽古で使うようになりました。

茶筅をふると、その茶碗はまるで呼吸するように、手に馴染みました。


数ヶ月後。彼女は久しぶりに、京都で開かれる茶会に招かれました。

その席に、その茶碗を持参し、師匠に点前を披露したのです。


茶室の静けさの中、師匠がその茶碗を手に取り、驚いたように息を呑みました。


「……これは、本物かもしれない」


戦後の物のない時期に一人の樂焼(らくやき)の名工がいた。

その作風は、現代でも特に海外で高く評価されており、作品によっては数百万の価値がつくこともあります。


すぐに京都の美術鑑定士に確認を依頼したところ、

「鑑定結果:真作。保存状態もよく、推定落札価格は500万〜700万円」


彼女がたった3,000円で手にした茶碗は、まさに伝説級の逸品だったのです。


茶碗はその後、京都のとある美術館へと寄贈されました。

彼女は売却の選択も考えましたが、最終的には「この碗は人々の目に触れたほうがよい」と手放すことを決意。


それから暫くして、一通の手紙が届きます。差出人は、10年以上会っていなかった祖母の遠縁にあたる老婦人でした。


「お変わりありませんか。実は、あなたのお父様が若い頃、大変お世話になった方からいただいたものがあります。

もし、心当たりがあるなら、お受け取りください」


同封されていたのは、郵便局の定額小為替と、1枚の紙片。

紙にはこう記されていました。


ご両親が亡くなられた頃、あなたの未来にそっと託していたものです。

今こそ必要な時かと思い、お送りします。

美しいものを大切にできるあなたに、幸あれ。


後日、郵便局で換金した額は――なんとちょうど500万円。


あまりにも不思議な出来事でした。


過去にお金を預かったという記憶はない。

ましてや、父が誰かから娘宛に500万円を託すなど、聞いたこともない。


しかし彼女には、ひとつだけ心当たりがありました。


あの道入の茶碗を最初にSNSに載せたとき、ひとりだけコメントをくれた年配のアカウントがあったのです。


「これは、あなたの手に渡るべくして渡ったものです。大切に。」


今ではもう、そのアカウントは存在していません。


その後、彼女は受け取ったお金を使い、山の古民家の納屋を改装して、小さな茶室を作りました。


訪れた人に静かなお茶を一服出しているそうです。


けれど彼女は、それ以上は語りません。


あの日、風のように届いた幸運は、

お金以上に――人の想いと時の流れの不思議を教えてくれた贈り物だったのです。


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