top of page

見飽きない絵の秘密――広重が導く視線、フェルメールの光、セザンヌの静けさ。喫茶猫屋堂整体〜CS60LOHAS北九州緩み

なぜ、広重は視線を奥に導くのか。

それは、見る者を“絵の中へ”引き込みたいからに違いない。

目は単に風景をなぞるためにあるのではない。目は、心を運ぶ舟のようなものだ。


特定の物を長く見続けると、視覚的な抵抗感が減る。

そしてさらに見つめ続けるうちに、視覚の快感も薄れていく。

その先には、「見飽きる」という領域がある。


見飽きること――それは作品にとって、静かなる死だ。

どんなに技巧を尽くしても、どんなに完成された構図でも、

見る者の心をつなぎ止められなければ、作品は永遠には生きられない。


広重は、その危うさを本能的に知っていたのだと思う。

だからこそ、視線を動かす。

奥へ、橋の向こうへ、空の果てへ。

見る者が視線を運ぶたびに、絵の中に「風」が起こる。

その風が止まらない限り、作品は呼吸を続ける。


絵とは、見る行為によって完成するものだ。

静止画でありながら、心の中で動く。

それが広重の“風景の秘密”である。


他の作家の視線の導きを見てみると、面白いほどに個性がある。


フェルメールの作品は、まるで小説のようだ。

主題があり、転調があり、結末がある。

窓辺でミルクを注ぐ女性――そこには始まりがある。

差し込む光が物語を進め、テーブルに置かれた小さな器が余韻を生む。

一枚の絵の中で、光が語り、沈黙が結末をつくる。

それはまさに、文学的な構造を持つ絵画だ。


セザンヌもまた、視線の流れに神経を研ぎ澄ませた画家だった。

リンゴの静物を描くとき、彼の意識はリンゴの赤や形ではなく、

その「間」にあった。

器の丸みと、テーブルの傾き。

背景の布の波打つリズム。

視線がそれらをゆっくりと巡り、最後には絵全体の“呼吸”にたどり着く。


セザンヌの絵を見ると、リンゴは果実である以上に「宇宙の中心」に見える。

生命のかたちがそこに凝縮されている。

だからこそ、見飽きない。

一度見ても、また見たくなる。

見るたびに違う表情がある。

それは、見つめる者の心が変化するからだ。


広重がもし、セザンヌの絵を見たらどう思うだろうか。

「この人も、風を描こうとしているな」

そう微笑んで言うかもしれない。


セザンヌの筆は風を描き、広重の構図は風を通す。

どちらも、空間を動かす力を持っている。

画面の中の静寂の奥で、確かに空氣が流れている。


絵画とは、本来、止まっているものではない。

視線が動き、呼吸が生まれ、感情が共鳴するとき、

初めて絵は“生きている”。


そしてその瞬間、描かれた藤も、リンゴも、光も、

時を超えて私たちの心の中で揺れ動く。


絵とは、命の延長であり、心のリズムの記録だ。

広重もフェルメールもセザンヌも、

その“見えないリズム”を、筆先で感じ取っていたのだろう。


彼らの描いた空間の中では、風が吹き続けている。

それは、今もなお、私たちの心の奥でそっと鳴っている――。


喫茶猫屋堂整体

CS60LOHAS北九州緩み

絵画

 
 
 

コメント


ご予約/お問い合わせはこちら

新宮町花立花で受けられるCS60の整体

喫茶猫屋堂整体
CS60LOHAS北九州緩み

 

〒811-0103

福岡県糟屋郡新宮町花立花4丁目1-1喫茶猫屋堂

 

新宮町コミュニティバス「マリンクス」

山らいず線『花立花』バス停下車 徒歩1分

営業時間

11:00~17:00

​日,月曜日,祝日休み

(福岡市東区,福岡市博多区,福岡市中央区,福岡市南区,福岡市城南区,福岡市早良区,古賀市,新宮町,福津市,宗像市,久山町,粕屋町,篠栗町,北九州市,飯塚市,直方市,中間市の方からお越しいただいております)

Mail: cs60sotaro@gmail.com

お問い合わせ

© 2025 CS60LOHAS北九州緩み

bottom of page