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赤松の葉と松葉茶と桔梗の花ー八幡西区CS60施術日記ーCS60LOHAS北九州緩み


ひときわ広い敷地をもつ邸宅が北九州市八幡西区にある。

門を抜けた瞬間、私はふと時間の流れが変わるのを感じた。


庭には、たくさんの庭木が植えられていた。ひとつひとつが丁寧に世話されており、枝ぶりや根元の苔のつき方に、手間と愛情の積み重ねが見えた。


左手には大きな石を組んでつくった枯山水の庭があり、まるで山の峰を思わせる石組みの横には、風格ある黒松が枝を横に張っていた。


一方、玄関に向かう石畳の途中には、まるでこの家の「顔」のように立つ赤松がある。

幹は太く、曲がりくねった枝のひとつひとつに、年輪が宿してきた歳月が滲んでいた。

赤松はこの家のシンボルツリーだと、後に女性が教えてくれた。


その日、私はCS60の施術のために八幡西区にあるこちらの家を訪れた。

出迎えてくれたのは、歯科医師として新しく歯医者に勤めはじめたばかりの女性だった。


「歯磨き粉は使わないんです。歯ブラシとフロスだけで、充分きれいにできます」


さらりと語られたその言葉に、職人のような矜持があった。清潔感のある白いブラウスの袖口から伸びた腕は、しなやかに見えて、その実、相当に酷使されていることがわかった。触れたとき、肘から先にかけて微かな硬さと冷たさが伝わってきた。手のひらも、指先も、まるで「道具」として使い込まれた跡のように、静かに張っていた。


私は腕を中心に、背中や首、そして手のひらや手の甲、一本一本の指にいたるまで、細かくCS60を滑らせていった。沈黙の中で、女性の呼吸がだんだん深くなるのがわかった。


施術が終わると、リビングに通され、赤松の葉で淹れたという松葉茶を出してくださった。


湯気と共に、かすかな海風のような香りが立ちのぼる。潮の香りではない。

松林を駆け抜ける風のような、乾いた夏の空気と葉の精気が混ざり合ったような香りだ。


「この赤松の葉なんです。乾燥させて刻んだものを、お茶にして」


そう言って女性が窓の外を指さすと、さっき見た赤松が陽の光を浴びながら静かに揺れていた。


「夫が庭木の剪定が趣味で、私は草花担当なんです。」


柔らかく笑う彼女の眼差しの先には、古い枕木で縁取られた花壇があった。

中には小さな萩が可憐な花をつけ、おにゆりが力強く咲いていた。橙の花びらが、まるで夏の陽をそのまま抱いたような色をしている。


そのそばには桔梗が咲いていた。淡い紫の五角形が、まるで家紋のように整っている。

一本の茎から、何輪もの花が風にそよぎ、まるでこの家の静かな誇りのように見えた。


この家には、手をかけて育てられたものが多くあった。それは赤松の葉であり、桔梗の花であり、丁寧に磨かれた器であり、そして――疲れた身体を慈しむ時間でもある。


夏の陽射しは相変わらず強かったが、時折吹く風が、私の額に流れる汗をそっと拭ってくれた。


私はこの日、癒しとは、単なる技術ではなく「生き方」そのものに宿るのだと、あらためて思い知った。

教会

 
 
 

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