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透明な窓に口紅が残った日ー小倉北区CS60施術日記ーCS60LOHAS北九州緩み

かつて城下町として栄えた北九州市小倉北区。

時代の流れとともにその輪郭を曖昧にしながら、今は都市の喧騒に呑まれている。


その一角に建つ集合住宅。

煉瓦色の外壁が鈍い夏の陽を受けて光り、エントランスには意外なほど多種の樹木が植えられていた。

ヒメシャラ、ヤマボウシ、そして背の高いイロハモミジ。コンクリートの隙間に、四季の揺らぎを忍ばせるように。


私はCS60の施術者として、ある依頼を受けこの住宅を訪れた。

エレベーターの扉が開くと、そこには無口な男性が立っていた。

小売業の店舗に勤務しているという。制服の襟元には、色褪せたネームプレートがぶら下がっていた。年の頃は五十前後か。働き詰めの時間が顔に刻まれた皺の深さから読み取れた。

「全体的に、疲れてましてな……」男性はそう言うと、施術用のマットの上に静かに横たわった。


私は足裏から頭頂まで、丁寧にCS60を滑らせていく。皮膚の奥に潜む反応は様々だった。足首にかすかな重さ。腰回りには鈍い跳ね返り。

肩甲骨の辺りで、何かがゆっくり溶けるような感触が指に伝わってきた。

「なんというか……体の中から、生き返る感じがしました」


施術が終わると、男性はそう呟いた。まるで半日ほど前の自分を、どこか遠くの影のように思い出しているような口ぶりだった。


リビングに通され、アイスコーヒーをご馳走になった。水出しの香りが鼻腔をくすぐる。酸味の少ないその味は、静かに身体の内側へと沁みこんでいくようだった。

グラスに目をやると、それは江戸切子の逸品だった。

透きとおる青の中に、細工の花弁が浮かぶ。


「作家さんの一点ものなんですよ」男はどこか誇らしげにそう言った。


話が弾むうち、思いもよらぬエピソードを聞かされた。彼は勤務先の店舗で、客の少ない時間帯に一人、黙々と窓拭きをしていたという。


「新聞紙と水だけで、ね。薬品なんて使いません。地道に、ね」


そうして磨かれたガラスは、もはや"透明"を通り越して、視覚の死角に入ってしまうほどの透明度になった。


ある日、一人の女性客がレジを終え、ガラス戸の方へと歩いていった。


そして、激突した。


「ケガはなかったですけどね。口紅が、ガラスに、くっきり残りまして」


男は苦笑する。

その事故は、まさかの二度あったという。


仕方なく、小さなお勧めの商品のポップを作り、ラミネートして貼った。


「まさか、透明すぎて見えなくなるとは思ってなかったです」


私は思った。彼の掃除とは、ただの作業ではない。黄砂が降るこの季節、風に乗って知らぬ間に窓が曇る。だからこそ、汚れる前に拭く。


「汚れてからじゃ遅いんですよ。汚れる前にやる。それが、本当の掃除です」


その言葉に、男の真面目で誠実な気質が凝縮されていた。

透明にするために、誰にも気づかれない努力を惜しまない人間がいる。

その姿は、誰にも知られることのないCS60の施術と、どこか似ていた。

私はその日、何かを清めるということの本質を、深く考えさせられた。

それはガラスではなく、時に人間の心や身体であることもあるのだ――。

CS60LOHAS北九州緩み

ガラス

 
 
 

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