雨の合間にのぞく満月と、蒸したてのよもぎ餅──心を整える秋の夜、喫茶猫屋堂整体。CS60LOHAS北九州緩みが見つめた移ろいの美
- 管理者

- 10月8日
- 読了時間: 2分
福岡県の空には、まだ薄い雲が流れていた。
中秋の名月の翌日──それは暦の上では満月。けれど、今夜の月は時折雨に煙り、また顔をのぞかせる。まるで、空がいたずらをしているかのようだった。
私の一日は、そんな空の氣まぐれと共に始まった。
CS60の施術の合間、ふと外を眺めると、雨に濡れた木々がきらきらと光っている。風にそよぐ葉の一枚一枚が、まるで月の代わりに輝いているようにも見えた。
夕方にはお団子を用意し、温かいお茶を淹れた。
けれど、空を見上げても雲の切れ間は少ない。
それでも、月を待つ時間というのは不思議なものだ。見えなくても、そこにあると分かるだけで、心が静まっていく。
思い出したのは、お氣に入りの「よもぎ餅」のお店。
春から初夏にかけて摘まれたよもぎの香りが強く、手に取るとふんわり柔らかくて、ほんのり甘い。けれど、そのご主人が体調を崩され、しばらくお休みされていると聞いた。
どうかまた、元氣な笑顔であの餅を作ってほしい。
そんな願いを胸に、別のお店を探してみた。
すると偶然、道沿いに昔ながらの小さな和菓子屋を見つけた。
軒先には「よもぎ餅あります」の小さな札。
店構えからして、すでに美味しそうだった。
暖簾をくぐると、蒸したての湯気がほのかに立ち上り、よもぎの香りが鼻をくすぐる。
手に取ったその餅は、柔らかく、まだあたたかい。
一口かじると、草の香りが口いっぱいに広がり、甘さ控えめの餡が優しく包んでくれる。
思わず、「ああ、これこれ」と声が漏れた。
月が顔を出す前に、餅はすべて食べ終えてしまった。
でも、心の中ではすでに満月が輝いていたように思う。
施術をしていても感じることだが、
人も自然も、完全な形というのは、ほんの一瞬の奇跡のようなものだ。
満月も、咲きたての花も、蒸したてのよもぎ餅も──
どれも、移ろいの中にある美しさ。
明日になれば、また違う月が見える。
その時の風、その時の香り、その時の人との出会いが、すべて一期一会の輝きを持っている。
静かな夜、茶の湯気が立ちのぼる。
外ではまた、雨がそっと降り始めた。
けれど心は満たされている。
空の向こうで、きっとあの満月も笑っているに違いない。
――喫茶猫屋堂整体。CS60LOHAS北九州緩み、秋の夜のひとこま。





コメント