【香りは、記憶の扉を開く――飯塚の調香八段の女性との出会い】
- 管理者
- 3 日前
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皆さんこんにちは。
飯塚市近郊でCS60の出張整体を行なっておりますCS60LOHAS北九州緩みです。
CS60LOHAS北九州緩みとして、日々訪問施術でいろいろなご自宅を訪れるなかで、心に深く残るご縁があります。
先日訪れたのは、飯塚市の静かな住宅街。道沿いには昔ながらの石垣と、季節の花を育てる庭がありました。
約束の時間に大きな門を開けると、そこには優雅な佇まいの女性が立っていました。
年齢を感じさせないほどきめ細やかな肌と澄んだ眼差し。そして何より、玄関先に漂う、何とも言えない上品な香りが印象的でした。
「どうぞお入りください。風が氣持ちいいから、今日は窓を開けておきました」
案内された和室には、壁一面の本棚と、整然と並べられた小瓶が並ぶ机。
それぞれの瓶にはラテン語のような名前と、数字、そして不思議な記号が書かれたラベル。
一見すると実験室のようなこの空間、でも漂うのは化学ではなく、静かな芸術の気配でした。
施術の準備を進めながら、私は氣になって聞いてみました。
「これらはアロマオイルですか?」と。
彼女は微笑んで、静かに答えました。
「いえ、調香術です。私は香道調香術の八段なの」
聞いた瞬間、正直驚きました。香道なら知っていましたが、“調香術”と融合したものは初耳でした。
話を聞けば、彼女は3才の頃から香りに魅せられ、独学と研究を重ね、出雲や京都の専門家のもとで修業もしたそうです。そして現在は、香りを通じて記憶と感情にアプローチするメソッドを確立し、個人セッションを行っているのだとか。
「香りは、時間と空間を超えて人を動かすの。
この小さな瓶の中に、旅も、愛も、祈りも、ぜんぶ詰まっているのよ」
そう語りながら、ひとつの瓶を差し出してくれました。
小瓶を開けた途端、鼻をかすめた香りに、私は不意を突かれました。
なぜか、小学生のときの放課後――夏の夕立あとの匂い、濡れたランドセル、畳の部屋、祖母が煮てくれていた麦茶の甘い香り――そんな風景が、一瞬にして脳裏に浮かんできたのです。
私は驚きを隠せませんでした。
「音楽家が五線譜で世界を表現するように、私は空氣で物語を紡ぐの。香りは空氣の詩なのよ」
その言葉に、しばらく沈黙してしまったほどです。
施術に入ると、彼女の身体はまるで香りを届ける管のように繊細で、特に肩甲骨と背中周辺に長年の緊張がたまっているのがわかりました。
「私ね、香りを調合するとき、身体も心も全力を使うの。
集中が深くなると、背中が呼吸を忘れてしまうくらい、静まるのよ」
CS60を使って丁寧に、呼吸を取り戻すような気持ちで施術していくと、
「ふふ…流れていくようね」と穏やかに笑ってくれました。
最後に、彼女がこんなことを言いました。
「CS60も、香りも、どちらも記憶の扉を開けるものね。体の奥にしまっていた感情が、ふと出てくるでしょう?」
確かに、CS60で深く緩んだとき、ふと昔のことを思い出したり、涙が出たりする方も少なくありません。
香りと身体、その両方を通じて人の深いところに触れていく――まるで、違う道を通って同じ場所に辿り着くような感覚でした。
帰り際、彼女は「次は無香の香り、聞いてみる?」と。
その言葉の意味がまだ私にはわかりません。でも、また近いうちにお伺いして、もっとこの不思議な世界を知りたいと思っています。
飯塚の住宅街に、こんなにも静かで、知的で、奥深い香りの宇宙があること。
これからも、出会いを大切にしていきたいです。感謝しています。

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